キミのために一生分の恋を歌う② -last stage-

ここからは後から聞いた話。
晴は冬夜の胸ぐらを掴んで言った。

「なんで今更小夏の前に現れたんですか!!」
「……昨日、瞬たちから連絡をもらって。本当は隠れて見て帰るだけのつもりだった」
「小夏なら気づかないわけないのに。小夏がこれまで貴方を思ってどれだけ泣いていたのか知りもしないくせに……!!」
「晴っ! 今はそれどころじゃないだろう」

東条先生に腕を掴まれ、ようやく我に返った晴。
倒れている私を見て、すぐに救急車へ連絡を入れた。

また、既に学校の先生たちはこれ以上の騒ぎにならないよう、生徒たちを集めて移動させていた。

「リリーバーを入れているが意識もなく入っていかない。呼吸状態が悪すぎる。向こうへ着いたらすぐに挿管した方がいいだろう」
「サチュレーション85です。血圧上が80、下が55、脈拍110、チアノーゼ出てきてます」
「とりあえず酸素入れて!」
「はい!」

保健室にあった緊急時用の備品だけで対応する晴たち。

「直前にリリーバーは吸っていたのか」
「はい。毎日ネブライザーとテオフィリンとステロイド点滴も継続投与していました。サチュレーション、更にさがってます!」
「呼吸が止まった⋯⋯AEDを準備。心マやるぞ」
「はい」
「お姉ちゃん!!」
「小春落ち着いて。今は邪魔したらダメ。先生達がいれば大丈夫だから」
「でもっ⋯⋯!!」

泣きそうな小春を抱きしめて、少し距離を取ったすみちゃん。

「うちと小春は救急車が来たら先生達に任せて、車で追いかけます。冬夜さんはどうしますか?」
「お兄ちゃん⋯⋯!!お姉ちゃんが、お姉ちゃんが!!!」
「小春⋯⋯!!」

冬夜に駆け寄る小春。
冬夜は小春を抱きしめ、頭を撫でる。

「すみさん、悪いね。実は今日母さんも一緒に来ているんだ」
「茜さんが⋯⋯?」
「詳しくは後から話すよ。とにかく僕も母さんと病院に行く。逢坂大学病院でいいんだよね? 佳史の隣にいる彼は小夏の主治医かい?」
「ええ、逢坂大の諏訪野先生で小夏の主治医です」
「あの晴が……佳史の弟子になったのか」
「あと隠しててもしょうがないから言うけど、諏訪野さんは小夏の恋人でもあります」
「⋯⋯そう」

救急車のサイレンが聞こえてくる。
先生たちは必死に私を生かそうとしてくれている。

「晴、心マ交代できるか」
「はい。おい小夏!! まだいくな!!! まだ沢山、一緒にやりたいことがあるんだから!!!」

泣きながら何度も名前を呼んで、声をかけてくれる晴。
私は覚えてないんだけど、一度だけ目を開けて言ったらしい。

「もう、大丈夫だよ⋯⋯ずっとずっと⋯⋯だい、好き」

そして震える手を伸ばして、晴の青い顔に触れた。