車に乗ると、晴に一度診察させてと言われる。
私は大人しく胸の前を空けて、受け入れた。
「具合はどうだ?」
「わかんないだよね。なんていうか、限界はとうに越えたって感じで」
「そうだろうね。この音ならかなり苦しんでいてもおかしくないんだが」
そういいながら、晴は聴診器を外す。
その後、差し出してきたリリーバーの吸入と薬を飲んだ。
それからもう一度、長めの聴診をされる。
「これで少しは落ち着くはずだから。また具合悪くなったら言って」
「うん……」
「僕に言ったら酸素マスクつけて点滴しながら病院に即帰ることになるから。それが分かってるからこそ絶対自分からは言わないだろうけどね」
「流石、晴だね」
「まぁ、その時は僕が見きわめるからいいけど」
晴は高速に乗り、どんどん東京へ向かっていった。
頭上に見えていたまん丸の月はどんどん傾いていく。
不安になってきて、私は尋ねる。
「ねぇ、病院帰ろうとしてない?」
「帰ろうとはしてない」
「晴、どこ連れてってくれるの?」
「答えたら無理しない?」
「答えによるかな」
「じゃあ、まだ言わない」
晴は、車のオーディオを付けた。
bihukaの音楽が聴こえてくる。
小さな声で私は口ずさんだ。
「こら、歌うな」
「晴の地獄耳」
「歌える上に悪口言う元気まであって結構だ」
「目が笑ってない」
「後で覚えとけってこと」
と言いながら、晴は運転を続ける。
ついに視界からは完全に海が見えなくなった。
眠らない光がたくさんの東京の街へと入っていく。
私は大人しく胸の前を空けて、受け入れた。
「具合はどうだ?」
「わかんないだよね。なんていうか、限界はとうに越えたって感じで」
「そうだろうね。この音ならかなり苦しんでいてもおかしくないんだが」
そういいながら、晴は聴診器を外す。
その後、差し出してきたリリーバーの吸入と薬を飲んだ。
それからもう一度、長めの聴診をされる。
「これで少しは落ち着くはずだから。また具合悪くなったら言って」
「うん……」
「僕に言ったら酸素マスクつけて点滴しながら病院に即帰ることになるから。それが分かってるからこそ絶対自分からは言わないだろうけどね」
「流石、晴だね」
「まぁ、その時は僕が見きわめるからいいけど」
晴は高速に乗り、どんどん東京へ向かっていった。
頭上に見えていたまん丸の月はどんどん傾いていく。
不安になってきて、私は尋ねる。
「ねぇ、病院帰ろうとしてない?」
「帰ろうとはしてない」
「晴、どこ連れてってくれるの?」
「答えたら無理しない?」
「答えによるかな」
「じゃあ、まだ言わない」
晴は、車のオーディオを付けた。
bihukaの音楽が聴こえてくる。
小さな声で私は口ずさんだ。
「こら、歌うな」
「晴の地獄耳」
「歌える上に悪口言う元気まであって結構だ」
「目が笑ってない」
「後で覚えとけってこと」
と言いながら、晴は運転を続ける。
ついに視界からは完全に海が見えなくなった。
眠らない光がたくさんの東京の街へと入っていく。


