袖に行くと既にそこには晴が待機しており、口元へ酸素マスクを当てられる。隣には東条先生とゆかさんもいた。
「ハアハア……晴、先生たちーー客席から見ててくれたんじゃ……」
「ごめんね。君が心配だったから、こっちで待たせてもらってたんだ」
「小夏ちゃん。みんなでここでちゃんと聴いてたよ。本当に小夏ちゃんがbihukaだったんだね」
東条先生とゆかさんが、私の手を握りながら心配そうに声をかけてくれた。
晴は何も言わず集中して、診察している。
「東条先生、サチュレーションは99。むしろ安定してます。脈が150超えてます。パニックか、貧血ですかね」
東条先生は手早く酸素マスクを外しながら、聴診する。
「うん。今は激しい喘鳴は聞こえない。めまいや吐き気は無さそうだし、貧血の方よりメンタルだろうな」
「もうルートは取ってます。時間が無い。少し鎮静かけますか」
「そうした方が良いだろうが、本人の意思を確認してからだ」
晴がやっとこっちを見てくれた。
その目には迷いと不安とが混ざり、揺らいでいた。
「晴……ハァハァ……手……」
私は晴の手を求めて、握った。とても温かい。
「大丈夫だよ。小夏。今小春さんがステージでがんばってる。聞こえるだろ?」
「……ハアハア……小春……ごめん……ね」
ーーお姉ちゃんが辛い時は一番近くで私が支える、私たちは2人でbihukaだよね?
自然と、涙が出てくる。
息が苦しい。でも怖くて。冷たくて暗い。
死ぬってこんな感じなのかな。
ごめんね小春。
私、少し疲れちゃったかもしれなくてーー
「……今の小夏はパニック発作を起こしてる。この間と同じだ。時間が経てば自然と落ち着く。だけど、今すぐに楽にしたいなら鎮静剤を使える。小夏はどうしたい?」
「いやいい、晴。もう鎮静剤を使おう。この状態では歌えるはずがない」
「そうです、小夏ちゃんが辛そうです!」
すると、『GIFT』の前奏が聞こえてきた。
観客のみんなの声や楽しそうな拍手も。
小春が震える手で、足で、舞台の真ん中に立ち、歌い始める。
「ハアハア……晴、先生たちーー客席から見ててくれたんじゃ……」
「ごめんね。君が心配だったから、こっちで待たせてもらってたんだ」
「小夏ちゃん。みんなでここでちゃんと聴いてたよ。本当に小夏ちゃんがbihukaだったんだね」
東条先生とゆかさんが、私の手を握りながら心配そうに声をかけてくれた。
晴は何も言わず集中して、診察している。
「東条先生、サチュレーションは99。むしろ安定してます。脈が150超えてます。パニックか、貧血ですかね」
東条先生は手早く酸素マスクを外しながら、聴診する。
「うん。今は激しい喘鳴は聞こえない。めまいや吐き気は無さそうだし、貧血の方よりメンタルだろうな」
「もうルートは取ってます。時間が無い。少し鎮静かけますか」
「そうした方が良いだろうが、本人の意思を確認してからだ」
晴がやっとこっちを見てくれた。
その目には迷いと不安とが混ざり、揺らいでいた。
「晴……ハァハァ……手……」
私は晴の手を求めて、握った。とても温かい。
「大丈夫だよ。小夏。今小春さんがステージでがんばってる。聞こえるだろ?」
「……ハアハア……小春……ごめん……ね」
ーーお姉ちゃんが辛い時は一番近くで私が支える、私たちは2人でbihukaだよね?
自然と、涙が出てくる。
息が苦しい。でも怖くて。冷たくて暗い。
死ぬってこんな感じなのかな。
ごめんね小春。
私、少し疲れちゃったかもしれなくてーー
「……今の小夏はパニック発作を起こしてる。この間と同じだ。時間が経てば自然と落ち着く。だけど、今すぐに楽にしたいなら鎮静剤を使える。小夏はどうしたい?」
「いやいい、晴。もう鎮静剤を使おう。この状態では歌えるはずがない」
「そうです、小夏ちゃんが辛そうです!」
すると、『GIFT』の前奏が聞こえてきた。
観客のみんなの声や楽しそうな拍手も。
小春が震える手で、足で、舞台の真ん中に立ち、歌い始める。


