ラスト、三曲目が始まる前。
予定通りのMCに入ろうとしたところ、急に冷や汗が溢れ出し、手が震えた。
マイクを掴んでいた手が滑って、ステージの床へと落ちる。
音声は切れていたものの、ガタンという鈍い音がした。
私は謝ろうとして、直ぐにマイクを拾いスイッチを入れる。
「ーーーッ!!」
こんなに楽しいのに、みんなが待っていてくれるのに、声が出ない。
足が震えて、涙が溢れそうになる。
異変に気が付いた小春が、即興にキーボードで『edge of』のメロディーをゆっくり弾き始めた。
バンドメンバーも上手く合わせてくれる。
私は小春やバンドのみんなと目を合わせて、一度舞台袖へと戻る。
小春たちは力強く、頷いて応えてくれる。
「みなさん初めまして! bihukaの楽曲制作担当の小春です! いつもみんなの前で歌を披露しているのは私のお姉ちゃんです。しかしどうやらお腹が空いてしまったようで、今から腹ごしらえしてくるそうです」
そうすると、ちょっとした笑いが起きる。
「とか言って、それも言い訳かもしれません。もしかしたら、この会場のどこかにいるこの間の配信で登場したイケメン王子様の彼に会いたくなってしまったのかもしれません。どこかで王子、見かけませんでしたか?」
観客たちは居ないよー! 私達も会いたいー!などと、返しながら笑ってくれている。
「私たちはいつも2人で音楽を作ってきました。と言ってもみなさんもお姉ちゃんの声を聴いてくれれば分かるように、お姉ちゃんは遥か先の、高みにいる人です。その背中を追いかけようとすることさえ、叶わないくらいの人ですーー」
そして小春は一度目を瞑り、一瞬の沈黙の後、こう言った。
「天才とは、本質的に孤独なものなんだと思います。そう分かってても、だからこそちっぽけでもいいから、力になりたい。私はお姉ちゃんにいつも伝えたいと思っていたことがあるんです。
お姉ちゃんが辛い時は一番近くで私が支える、私達は2人でbihukaだよね? これからもずっと変わらないよね、と。だから、これからも、私がいて、お姉ちゃんがいる。bihukaの歌は2人で作っていきます! どうぞ応援をお願いします」
観客からは次々と拍手と応援の声があがった。
「ありがとうございます! では、次が今回のライブ最後の曲です。3曲目のタイトルは『GIFT』。bihuka初と言ってもいい、The POPな曲を楽しんでくだい!! みんな是非手拍子をお願いします!! きっとその音にびっくりしてお姉ちゃんもすぐに戻ってきますから、どうかどうか、力いっぱいの、大きな拍手をお願いします!」
小春は最後は震えるような声で頭を下げた。
ドラムのアップテンポなリズムを合図にして、曲が始まる。
小春が手拍子をすると、みんなも真似してくれる。
キーボードを途中まで弾いていた小春だが、演奏を止めてマイクを手に持ち、ステージの真ん中に来た。
その瞳が袖にいる私を捉えた。
信じてるよ、待っているよーーと。
予定通りのMCに入ろうとしたところ、急に冷や汗が溢れ出し、手が震えた。
マイクを掴んでいた手が滑って、ステージの床へと落ちる。
音声は切れていたものの、ガタンという鈍い音がした。
私は謝ろうとして、直ぐにマイクを拾いスイッチを入れる。
「ーーーッ!!」
こんなに楽しいのに、みんなが待っていてくれるのに、声が出ない。
足が震えて、涙が溢れそうになる。
異変に気が付いた小春が、即興にキーボードで『edge of』のメロディーをゆっくり弾き始めた。
バンドメンバーも上手く合わせてくれる。
私は小春やバンドのみんなと目を合わせて、一度舞台袖へと戻る。
小春たちは力強く、頷いて応えてくれる。
「みなさん初めまして! bihukaの楽曲制作担当の小春です! いつもみんなの前で歌を披露しているのは私のお姉ちゃんです。しかしどうやらお腹が空いてしまったようで、今から腹ごしらえしてくるそうです」
そうすると、ちょっとした笑いが起きる。
「とか言って、それも言い訳かもしれません。もしかしたら、この会場のどこかにいるこの間の配信で登場したイケメン王子様の彼に会いたくなってしまったのかもしれません。どこかで王子、見かけませんでしたか?」
観客たちは居ないよー! 私達も会いたいー!などと、返しながら笑ってくれている。
「私たちはいつも2人で音楽を作ってきました。と言ってもみなさんもお姉ちゃんの声を聴いてくれれば分かるように、お姉ちゃんは遥か先の、高みにいる人です。その背中を追いかけようとすることさえ、叶わないくらいの人ですーー」
そして小春は一度目を瞑り、一瞬の沈黙の後、こう言った。
「天才とは、本質的に孤独なものなんだと思います。そう分かってても、だからこそちっぽけでもいいから、力になりたい。私はお姉ちゃんにいつも伝えたいと思っていたことがあるんです。
お姉ちゃんが辛い時は一番近くで私が支える、私達は2人でbihukaだよね? これからもずっと変わらないよね、と。だから、これからも、私がいて、お姉ちゃんがいる。bihukaの歌は2人で作っていきます! どうぞ応援をお願いします」
観客からは次々と拍手と応援の声があがった。
「ありがとうございます! では、次が今回のライブ最後の曲です。3曲目のタイトルは『GIFT』。bihuka初と言ってもいい、The POPな曲を楽しんでくだい!! みんな是非手拍子をお願いします!! きっとその音にびっくりしてお姉ちゃんもすぐに戻ってきますから、どうかどうか、力いっぱいの、大きな拍手をお願いします!」
小春は最後は震えるような声で頭を下げた。
ドラムのアップテンポなリズムを合図にして、曲が始まる。
小春が手拍子をすると、みんなも真似してくれる。
キーボードを途中まで弾いていた小春だが、演奏を止めてマイクを手に持ち、ステージの真ん中に来た。
その瞳が袖にいる私を捉えた。
信じてるよ、待っているよーーと。


