映画を観たのは初めてではなかったけど、映画館で観たのは初めてで、その迫力にびっくりした。
映画を観ながらずっと晴と手を繋いでいて。
ドキドキするシーンではギュッと強く握る晴とか、最後のシーンで涙ぐむ晴とか全部が可愛くて愛おしいと思った。
「ちょっとトイレに行く。この辺に居てくれ」
「分かった~。女子トイレも多分混んでるからゆっくりにしてね」
「了解」
そう晴に告げて見送ると、私は映画館近くの階段から屋上に出た。
ぶわっと、強い風が吹いて、溶けちゃいそうな夕日が見えた。
もう少しで日が暮れそう。日が暮れたらデートも終わって、ライブのリハーサルが始まるな。
「晴、ここだって気付いてくれるかな?」
私はスマホで晴にメッセージを送る。
『かくれんぼしよ』と。
『またかよ』とすぐ晴の返信。
でも5分もしないうちに、晴は屋上にやってきた。
今度は焦ったり怒ったりしてる感じもなく、当たり前のようにやって来た。
私が屋上の柵によりかかり、風を感じていると晴も隣に来る。
「小夏ってさ、猫みたいだな」
「そうかな」
「高いところが好き」
「そうかも」
「静かなところが好き」
「そうだね」
「風を感じられるところが好き」
「ふふ」
「じゃあ、かくれんぼは終わりってことで」
て言うかバレバレなんだよ、と晴から強く抱きしめられキスをされる。
大人のキス。少しだけ息苦しいけど、晴のことを深く感じられる。
「いつも階段使うなって言ってるのに。お仕置きだ」
「だって〜」
「だっても何もない。本当は体調悪いくせに。本当は入院中のくせに。……本当は小夏の血液検査の結果、そんなに改善してないのに。僕に心配ばかりかけて。だけど小夏のこと見てたら、小夏の気持ちが分かるから、もうこれくらいしか出来ないんだよ」
「……ごめんね。私もこんなことしか出来ないけど」
私はずっと持ってた紙袋から、晴へのプレゼントを取りだした。
「開けていい?」
「うん!」
晴が包みを開けると、そこには腕時計が入っている。
AONO SUMIのロゴの柴犬の咲くんと、シルバーの文字盤、そしてベルトの色はディープグリーンにした。
何となく晴って緑が似合うイメージがあったし、ペンとかネクタイとか緑が多かった。
晴は早速、今付けてるのを外して腕時計を付けてくれた。
「ありがとう。病院を抜け出した時に買ったんだと思うと少し複雑なんだけど、嬉しい」
「あの時は本当にごめんなさい。晴ならいい時計きっといっぱい持ってると思ったけど今日の記念に何か残したくて。あと……今までのお礼。私と付き合ってくれて、ありがとう。これからも2人の時間を刻んでいきたいって思ったから。私たちらしい時計を選んだの」
「いつも付ける。一番大切にする」
「えへへ。照れるな」
晴は柵にもたれかかっていた背中を反対にして、遠くの景色を見た。
私も同じようにして晴の隣で、街の景色を見ていた。
さっきまでいた海は少し遠くに見えているけれど、ここまでは潮の香りは来ない。
「ねぇ、小夏」
「ん?」
「景色、綺麗だね」
「そうだね」
「今からさ。またさっきみたいに確証もないこと言ってもいいか?」
「いいよ。晴の言葉だったら私、嘘だってわかっても信じるから」
嘘じゃないといい。このことがいつか小夏の力になったらいいと思ってたんだと晴は続けて言った。
映画を観ながらずっと晴と手を繋いでいて。
ドキドキするシーンではギュッと強く握る晴とか、最後のシーンで涙ぐむ晴とか全部が可愛くて愛おしいと思った。
「ちょっとトイレに行く。この辺に居てくれ」
「分かった~。女子トイレも多分混んでるからゆっくりにしてね」
「了解」
そう晴に告げて見送ると、私は映画館近くの階段から屋上に出た。
ぶわっと、強い風が吹いて、溶けちゃいそうな夕日が見えた。
もう少しで日が暮れそう。日が暮れたらデートも終わって、ライブのリハーサルが始まるな。
「晴、ここだって気付いてくれるかな?」
私はスマホで晴にメッセージを送る。
『かくれんぼしよ』と。
『またかよ』とすぐ晴の返信。
でも5分もしないうちに、晴は屋上にやってきた。
今度は焦ったり怒ったりしてる感じもなく、当たり前のようにやって来た。
私が屋上の柵によりかかり、風を感じていると晴も隣に来る。
「小夏ってさ、猫みたいだな」
「そうかな」
「高いところが好き」
「そうかも」
「静かなところが好き」
「そうだね」
「風を感じられるところが好き」
「ふふ」
「じゃあ、かくれんぼは終わりってことで」
て言うかバレバレなんだよ、と晴から強く抱きしめられキスをされる。
大人のキス。少しだけ息苦しいけど、晴のことを深く感じられる。
「いつも階段使うなって言ってるのに。お仕置きだ」
「だって〜」
「だっても何もない。本当は体調悪いくせに。本当は入院中のくせに。……本当は小夏の血液検査の結果、そんなに改善してないのに。僕に心配ばかりかけて。だけど小夏のこと見てたら、小夏の気持ちが分かるから、もうこれくらいしか出来ないんだよ」
「……ごめんね。私もこんなことしか出来ないけど」
私はずっと持ってた紙袋から、晴へのプレゼントを取りだした。
「開けていい?」
「うん!」
晴が包みを開けると、そこには腕時計が入っている。
AONO SUMIのロゴの柴犬の咲くんと、シルバーの文字盤、そしてベルトの色はディープグリーンにした。
何となく晴って緑が似合うイメージがあったし、ペンとかネクタイとか緑が多かった。
晴は早速、今付けてるのを外して腕時計を付けてくれた。
「ありがとう。病院を抜け出した時に買ったんだと思うと少し複雑なんだけど、嬉しい」
「あの時は本当にごめんなさい。晴ならいい時計きっといっぱい持ってると思ったけど今日の記念に何か残したくて。あと……今までのお礼。私と付き合ってくれて、ありがとう。これからも2人の時間を刻んでいきたいって思ったから。私たちらしい時計を選んだの」
「いつも付ける。一番大切にする」
「えへへ。照れるな」
晴は柵にもたれかかっていた背中を反対にして、遠くの景色を見た。
私も同じようにして晴の隣で、街の景色を見ていた。
さっきまでいた海は少し遠くに見えているけれど、ここまでは潮の香りは来ない。
「ねぇ、小夏」
「ん?」
「景色、綺麗だね」
「そうだね」
「今からさ。またさっきみたいに確証もないこと言ってもいいか?」
「いいよ。晴の言葉だったら私、嘘だってわかっても信じるから」
嘘じゃないといい。このことがいつか小夏の力になったらいいと思ってたんだと晴は続けて言った。


