「えへへ、私たちって今、はたから見たら超バカップルだよね」
「良いんだよ。二人でいる時はバカップルでさ」
「確かに。私たち二人とも普段は中々ゆっくりできないもんね」
「だから二人きりの時はこうして普通の時間を積み重ねていこう」
「うんっ」
大好きだよ、晴。と言うと、晴は笑って返してくれる。
ずっとこうして手を繋いで、互いの温もりを感じる。
こういう時間が永遠に続いていきますように。
「……小夏が泣きそうな時に考えてること、最近は少し分かるようになったよ」
まっすぐ海を見ながら晴は言った。
「なんだと思う?」
「私が居なくなっても、皆が寂しくないように何が残せるだろうとか。空の向こうにいる人に、もうすぐ会えるから心配しないでって考えてる」
「うん……大体合ってる」
「僕がどれだけ愛の言葉で満たしても、医者として力を尽くしても、小夏を救えないことがあることは分かってる。陽菜だって、そうだったから」
「そう……だね」
「でもこれだけは伝えておきたいんだ」
「うん、教えて?」
晴は私の両方の手を取り、目をしっかりと見つめながら一つ一つの言葉を包み込むようにして言った。
「小夏には音楽がある。その特別な声がある。他の誰から見ても、もう無理かもしれないと思うようなことも、きっと小夏なら、小夏の音楽なら、叶えてくれる。乗り越えられるよ。理屈なんて必要ない。どんなに非科学的でもいい。なんでもいい。僕はbihukaを信じてる」
「……ッ! ありがとう……私のこと、諦めないでくれて」
「ううん、僕は僕の言葉で伝えきれない思いをいつも小夏の歌から貰った。きっと今も誰かの力になって、たくさんの奇跡を起こしてる。そんな小夏だから好きなんだ。だから全部吐き出して。一人きりで、我慢なんかするなよ」
「絶対、大丈夫だって。私はがんばれるって。でも終わりの音が聞こえるの」
「一人で抱えるのは怖いよな……」
大丈夫と言いながら、晴はまた優しく背中を撫でてくれた。
私はもう我慢できなくて泣いてしまった。
「ぐすっ、晴のこと大好きだから……全部話したくて、伝えたくて。でも、伝えたら怖くて。ほんとに終わっちゃう……そんな気がして。負担にも、なりたくなくて……ふぇっ」
「いいよ、ゆっくりで」
「ホントの私は弱くて。ずっと晴のそばにいて、ただ甘えていたい。だけど前にも進みたくて、この夏で私……終わっちゃうのかも……しれないから!! 私にしかできないことをやらなくちゃ」
晴も目の端がキラキラと輝き、少しだけ泣いていた。
「ごめんな……。もし僕がもっと小夏に早く声をかけてたら、こんな苦しい思いさせなくて済んでたかもしれない。小夏から色んなものを奪って悲しい思いさせて」
「そんなことない。あの日、晴だけが私を見つけてくれたの。本当の私を。だから私が今こうしていられること、本当に本当に幸せなんだよ」
「もうこれ以上後悔させたくないから言う。これからも小夏は失うものが沢山あると思う。それでも僕は小夏には生きていて欲しい。失うものを超える沢山の奇跡を見せて欲しい」
「うんっ……だからきっと一番そばで私の歌を聴いてね」
私は自分でそう言ったくせに、わぁぁぁと声をあげて泣いた。
最近は恥ずかしげもなく泣いてばかりだ。
晴はゆっくり温かな手で背中を撫でてくれる。
きっと晴のせい。
私の我慢スイッチ、解除させちゃったから。
「ぷっ……ふふふっ」
「あれ。泣いたと思ったら、今度は笑ってる」
私は、晴もどこか不安定で。だからこそ、二人だけにはわかる絶対に揺らがないものを共有していた。
そんな絶妙なバランスで前を向いているんだ。
「だってさ……ははっ。皆は海でこんなに楽しそうにしてて、世界はこんなに輝いてて、せっかくこんなに広い海に来て、私たち2人で隅っこで泣いてるの。ちょっと、いや大分おかしいよ」
「ほんとだな。海に全部流してもらいに来るつもりだったのにな~」
「もう、流してもらった!」
「だな!」
泳ぎたいなぁ〜と言うと、体を冷やすから絶対にだめと言う晴。
「じゃあ、あそこの海の家行ってみよ。なんか食べよう」
「いいね! 私、海の家って行くの初めて」
行くぞと晴が手を出してきたので、ギューって抱きしめる。
抱きしめられたまま歩くなんて変だろといいながら、いいんだもんっと言って、私たちはいかにもバカップルで変なかっこうのまま海の家へ向かった。
「良いんだよ。二人でいる時はバカップルでさ」
「確かに。私たち二人とも普段は中々ゆっくりできないもんね」
「だから二人きりの時はこうして普通の時間を積み重ねていこう」
「うんっ」
大好きだよ、晴。と言うと、晴は笑って返してくれる。
ずっとこうして手を繋いで、互いの温もりを感じる。
こういう時間が永遠に続いていきますように。
「……小夏が泣きそうな時に考えてること、最近は少し分かるようになったよ」
まっすぐ海を見ながら晴は言った。
「なんだと思う?」
「私が居なくなっても、皆が寂しくないように何が残せるだろうとか。空の向こうにいる人に、もうすぐ会えるから心配しないでって考えてる」
「うん……大体合ってる」
「僕がどれだけ愛の言葉で満たしても、医者として力を尽くしても、小夏を救えないことがあることは分かってる。陽菜だって、そうだったから」
「そう……だね」
「でもこれだけは伝えておきたいんだ」
「うん、教えて?」
晴は私の両方の手を取り、目をしっかりと見つめながら一つ一つの言葉を包み込むようにして言った。
「小夏には音楽がある。その特別な声がある。他の誰から見ても、もう無理かもしれないと思うようなことも、きっと小夏なら、小夏の音楽なら、叶えてくれる。乗り越えられるよ。理屈なんて必要ない。どんなに非科学的でもいい。なんでもいい。僕はbihukaを信じてる」
「……ッ! ありがとう……私のこと、諦めないでくれて」
「ううん、僕は僕の言葉で伝えきれない思いをいつも小夏の歌から貰った。きっと今も誰かの力になって、たくさんの奇跡を起こしてる。そんな小夏だから好きなんだ。だから全部吐き出して。一人きりで、我慢なんかするなよ」
「絶対、大丈夫だって。私はがんばれるって。でも終わりの音が聞こえるの」
「一人で抱えるのは怖いよな……」
大丈夫と言いながら、晴はまた優しく背中を撫でてくれた。
私はもう我慢できなくて泣いてしまった。
「ぐすっ、晴のこと大好きだから……全部話したくて、伝えたくて。でも、伝えたら怖くて。ほんとに終わっちゃう……そんな気がして。負担にも、なりたくなくて……ふぇっ」
「いいよ、ゆっくりで」
「ホントの私は弱くて。ずっと晴のそばにいて、ただ甘えていたい。だけど前にも進みたくて、この夏で私……終わっちゃうのかも……しれないから!! 私にしかできないことをやらなくちゃ」
晴も目の端がキラキラと輝き、少しだけ泣いていた。
「ごめんな……。もし僕がもっと小夏に早く声をかけてたら、こんな苦しい思いさせなくて済んでたかもしれない。小夏から色んなものを奪って悲しい思いさせて」
「そんなことない。あの日、晴だけが私を見つけてくれたの。本当の私を。だから私が今こうしていられること、本当に本当に幸せなんだよ」
「もうこれ以上後悔させたくないから言う。これからも小夏は失うものが沢山あると思う。それでも僕は小夏には生きていて欲しい。失うものを超える沢山の奇跡を見せて欲しい」
「うんっ……だからきっと一番そばで私の歌を聴いてね」
私は自分でそう言ったくせに、わぁぁぁと声をあげて泣いた。
最近は恥ずかしげもなく泣いてばかりだ。
晴はゆっくり温かな手で背中を撫でてくれる。
きっと晴のせい。
私の我慢スイッチ、解除させちゃったから。
「ぷっ……ふふふっ」
「あれ。泣いたと思ったら、今度は笑ってる」
私は、晴もどこか不安定で。だからこそ、二人だけにはわかる絶対に揺らがないものを共有していた。
そんな絶妙なバランスで前を向いているんだ。
「だってさ……ははっ。皆は海でこんなに楽しそうにしてて、世界はこんなに輝いてて、せっかくこんなに広い海に来て、私たち2人で隅っこで泣いてるの。ちょっと、いや大分おかしいよ」
「ほんとだな。海に全部流してもらいに来るつもりだったのにな~」
「もう、流してもらった!」
「だな!」
泳ぎたいなぁ〜と言うと、体を冷やすから絶対にだめと言う晴。
「じゃあ、あそこの海の家行ってみよ。なんか食べよう」
「いいね! 私、海の家って行くの初めて」
行くぞと晴が手を出してきたので、ギューって抱きしめる。
抱きしめられたまま歩くなんて変だろといいながら、いいんだもんっと言って、私たちはいかにもバカップルで変なかっこうのまま海の家へ向かった。


