キミのために一生分の恋を歌う② -last stage-

久しぶりにあの人との夢をみた。

小さい頃、私とあの人はいつも同じ部屋で寝ていた。
寝る前には決まって、やさしい声で絵本を読みきかせてくれた。
その日は、『星の王子さま』だった。

『心で見なければものごとはよく見えないってこと。大切なことは目に見えないんだよ。』

『小夏それ、よくわかんないや。何が大切なことなの』

『うーん。この後にこんな言葉も出てくるよ。きみのバラが、きみにとってかけがえのないものになったのは、きみがバラのために費やした時間のためなんだ。』

『時間が大事ってこと?』

『そう、誰かのことを想う時間。元気でいてくれるだろうか、笑ってくれているか、悲しい思いはしてないか、幸せでいて欲しいと願って費やす時間。そういうものって一々時計で測ったりしないだろう。時間は長さじゃない、重みなんだよ』

『小夏はね。いっぱいい~っぱい考えてるよ、●●のことーー』

『本当の本当かい?』

『そうだよ! 確かめてみて』

私が手を広げ駆け寄ると、あの人は私の体を抱き上げて、本当に重~くなったなあと笑った。

『でもね。君の心はもう別の人で満たされているんじゃないかな? いつかきっと僕のことは忘れられちゃうね。こんな日がいつかは来ると分かっていたのにーー』

『忘れてなんかないよっ!!』

あの人は私の体を下ろすと、いまにも泣きだしそうな顔でずっと、ただ私を見つめている。

『愛とはお互い見つめあうことではなく、共に同じ方向を見つめることである。ーー例え君の瞳の先に映る景色が僕と同じじゃなくても、もういいよ。僕は、終わっていく人間だからね』

あの人は悲しそうに目を離すと、もう何も喋ってくれない。
お話の続きは、もうない。

『待って、待って!! どこにも行かないで。そんな悲しいことを言わないで。私もきっともうすぐそこに行くんだから……』

届かないと分かってるのに、何度も縋って求める自分がとても悲しかった。