「さてと⋯⋯次は⋯⋯」
スマホを取りだし、次のお店を目指す。確か、道玄坂を登った途中辺りだ。
坂はちょっと大変だなと思ったけれどここまで来たら引き返すことなど出来るはずがない。
そろそろ、消灯時間だ。既に私が部屋に居ないことがバレてしまったかもしれない。
どうせ怒られるのは分かってるから。もう最後までやり通したい。
「いらっしゃい。小夏ちゃん、久しぶりだね。ていうかこの時間に一人で来るの珍しいね」
次のお店は美容院だった。いつも私を担当してくれる、30代くらいだろうかオシャレな男性の店長さんが迎えてくれた。
「ちょっとのっぴきならない事情があって⋯⋯今からお願い出来ますか?」
「もちろん」
と言うと、店長さんはこちらに近付いて来て耳打ちするようにして続けた。
「この間のゲリラライブ、俺も見たよ。正直に言うとビックリした。良かったらこっちに他から見えない席あるから、今日はそこで切ろうか?」
「あ、助かります」
そうだよね、大体の私を知る人はもう見て知ってくれてるんだ。改めて実感する。
そして他から見えないというのは病院を抜け出した今の私にはとても都合が良かった。
スマホを取りだし、次のお店を目指す。確か、道玄坂を登った途中辺りだ。
坂はちょっと大変だなと思ったけれどここまで来たら引き返すことなど出来るはずがない。
そろそろ、消灯時間だ。既に私が部屋に居ないことがバレてしまったかもしれない。
どうせ怒られるのは分かってるから。もう最後までやり通したい。
「いらっしゃい。小夏ちゃん、久しぶりだね。ていうかこの時間に一人で来るの珍しいね」
次のお店は美容院だった。いつも私を担当してくれる、30代くらいだろうかオシャレな男性の店長さんが迎えてくれた。
「ちょっとのっぴきならない事情があって⋯⋯今からお願い出来ますか?」
「もちろん」
と言うと、店長さんはこちらに近付いて来て耳打ちするようにして続けた。
「この間のゲリラライブ、俺も見たよ。正直に言うとビックリした。良かったらこっちに他から見えない席あるから、今日はそこで切ろうか?」
「あ、助かります」
そうだよね、大体の私を知る人はもう見て知ってくれてるんだ。改めて実感する。
そして他から見えないというのは病院を抜け出した今の私にはとても都合が良かった。


