蒼伊が女子の中でひそかにかっこいいと言われてることは知ってる。
ただ、女子に対して愛想があんまよくないから近寄れないだけで。あわよくば、みたいな子はたくさんいるし。


でも絶対、モテてるよなんて言ってあげないけど。

こうやって、わたしと関わるみたいに女子と仲良くなれば、すぐ彼女できるだろうし。
こういったら嬉しいだろうなとか、わたしの反応見るみたいに、見ながら言いそうだし。

そんなのムカつくから、絶対言わない。




「付き合ってたやつ、同い年?」

「いや、一個上の先輩」

「へえ」

「そんな興味なさそうなら聞くなし」

「いや、興味なくはない」

「……蒼伊は、」

「ん?」

「どんな子と、付き合ってたの」

「あー、同い年」

「ふぅん」

「んな興味なさそうな相槌すんな」

「なくはないもん」



次の角を曲がれば、家に着く。
ひとりで歩くより、ずっと早く感じるのは、あーだこーだと言い合ってたから。



「もう、からかわないでね」

「揶揄ってるつもりねえけど」

「わたしみたいな友達じゃなくて、蒼伊に気のありそうな子に言って」

「………友達ね、」

「あ、もしかして彼女づくり練習台に使われてる?サイテー」

「誰もそんなこと言ってねえだろ」



あそこ、うち。
指さしたあと数メートル先。今日はずっと蒼伊と一緒にいたような気がする。
楽しかったけど。楽しかった、ってことは内緒にする。


「送ってくれてありがとう」


ここで大丈夫、
家の前でお母さんとかに見られてもだし、蒼伊の足を止める。



「俺は思ったことを言ってる」

「え?」

「揶揄ってない」

「なに、」

「深咲だから送った」

「………」

「ちゃんと頭で考えろ、じゃあな」





わたしが言葉を発する間もなく、蒼伊は来た道を振り返ってわたしから遠ざかる。
ちょっと、怒っているように見えたのは、どうして。


「……わかんないよ、」




蒼伊の考えていることは、なんにもわからない。
ずっと続いていたトークも、この日に途切れてしまった。