「めんどくせーよ、電車乗って、歩いて、また来た道一人で戻るなんて」

「………、」

「お前じゃなきゃやんねーよ」



それ、どういう意味?
顔に熱がこもっていくのがわかる。また、変な勘違いをしそうになる。

蒼伊のほうを見たら、こっちを見ていて、黙って顔を逸らした。
蒼伊が何を考えているかは、顔を見たっていつもわからない。



「……なんだ、その顔」

「や、そっち向いてて!」

「暗くてもわかるんだな」

「………」

「顔真っ赤なのって」

「最低!反応楽しんでるだけでしょ!サイアク!」



わかってしまった。
この人は、からかってるんだ。

意地悪して、慣れてないわたしの反応見て、楽しんでる。
わたしはまんまと引っかかって、真赤になって、蒼伊のおもうつぼで。




「そういう嘘、ほんと最低だから!」

「誰も嘘なんて言ってねえけど」

「絶対嘘、そうやって男慣れしてないわたしの反応見て面白がってるんだよ」

「男慣れ、してねえんだ」

「……蒼伊よりはね!」



こうやって、ぼろばっか出る。
どう見たって、わたしがすぐ勘違いしそうになるくらいには経験不足だってわかってるくせに。
なんでそんなに、にやにやするんだ。本当に、ひどい男だ。




「彼氏いたことねえの?」

「……ひとりだけ、いたけど」

「へえ、いたんだ」

「いたのにこの反応かよ、って思ってるでしょ!」

「んなこと言ってねえわ、被害妄想」

「蒼伊みたいにモテないもん、わたしは」

「そんなモテたことねえわ」

「ウソ」

「こんなウソ誰がつくかよ。ならモテてたって言うわ」