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『なんか食いもん持ってない?』
放課後。
いつものようにHR後に体育館に向かう。
通常更衣室でジャージに着替えるけれど、木曜日は制服のままでいい。
木曜日はマネージャーの仕事は殆どないけれど、同期のちづが行くからついて行っている、ようなもので。
これまでのマネの先輩の、木曜はオフにしても全然怒んないからね~という感じだったおかげで私の木曜日は自由なわけで。
だから、抜け出しても誰にも文句言われないのだ。
体育館で自主練してる部員を眺めながら洗濯物を畳んでいると、一見のメッセージが入っていたことに気づく。
差出人は菊池蒼伊。
『お菓子ならあるけど』
『それ持ってきて。なんでもいい』
『俺は今から行く』
そのメッセージを見て、洗濯を畳むスピードを誰にも勘付かれないくらいでちょっとあげた。
バックに必ず入っているお菓子。
蒼伊はお菓子とか食べるのかな。甘い物とか、あんまり好きそうじゃないけど。
「ちづ、お散歩してくるね」
「いってら~」
畳み終えたゼッケンをしまって、バックからポーチを取り出す。
クッキーとか、飴とかチョコとか、無造作に突っ込まれて膨らむポーチ。片手に持って体育館を後にする。



