「菊池歌ってたの?」
「うん、たぶん自主練の時間かなんかだったんじゃない、」
「で、今日も二人で屋上で待ち合わせるの?」
「、なんで」
「なんかそわそわしてるのは、放課後屋上に行くのが楽しみってことじゃ無くて?」
「……私、そんなそわそわしてる?」
「他の人じゃ気づけないだろうけど、スマホ見る回数がいつもより多いし、なんか落ち着きがない。恋してんのかと思った」
「恋してない!そんなすぐ落ちないし!」
「そんなすぐ落ちないってことは、落ちてく可能性はあるってこと?」
「、知らん!現時点では何も始まってないから、期待しないで」
「ミサキの恋バナ、聞けないわけ?」
「聞けない。残念!」
「へえー、まあこうご期待」
「期待しないで、変に意識したくないから」
「いいんじゃない?華のセブンティーンよ?わたしたち」
「そのままそっくりお返ししますけど」
落ち着きがないとか、スマホ見ちゃうとか。
自分では気づけないところで、そんなわかりやすいそわそわをしている自分に呆れる。
しょうがないじゃん、あれからひとことも直接喋ってない男子と会う約束をしているんだ。
メッセージのやりとりはしているけど。思ったよりちゃんと連絡が返ってくる男だったけど。変に続いてしまっていて、終わらせらんないとか思われているかもしれない。
教室で目があってしまっても、何事もなかったようにスルーされる。
なんかそれは、少し悲しい気もする。
だってこないだ、ちゃんと目を見て会話をしたから。
せめて他のクラスメイトよりは、仲のいいはずなのに。菊池蒼伊はドライだ。



