「今日なんかあんの?」

「え?」

「なんか、変だよミサキ」

「え、変ってなに?」

「なんか、そわそわしてる。小テスト楽しみ?なわけないし。楽しみな授業があるわけでもないでしょ?部活オフ?」

「いや、普通に部活だけど」

「じゃあなに、男?」

「ちょ、やめてよ!違うし!声でかい!」



昼休み。
お弁当を食べた後に自販機に向かっている廊下で、怪訝そうにわたしをみるのは涼子だ。

涼子とは入学して一番初めに仲良くなった。
第一印象はサバサバしてそうな美人な子。話してみても予想どおりバシッと思ったことを言ってくるタイプで、何よりも勘がいい。



「その焦り方、もっと怪しい。スマホだって、そんなちょこちょこ連絡返す奴なんていた?わたしに話してないことあるでしょ」

「怖いよ、探偵かなんかなの?」

「ミサキがわかりやすすぎるのよ。っていうのと、まあウラがある」

「なに、ほんとに探偵雇った?」

「まあ、近場の探偵よね。剛って」

「……剛くんから何を聞いたのよ」

「『アオイが比奈瀬と連絡とってんの見ちゃった!涼子なんか知らねえ?』」

「すごいそっくり、剛くんの真似」

「そこじゃない。菊池蒼伊とイイ感じかどうか聞いてる」

「やめてよ、そんなんじゃないもん」


といいながら、心臓が汗をかいている。