Thirty’s

「わかった、いやわかりました。そういうことなら、辞令をこうしていただいた以上、全力を尽くして、業務に取り組みます。それはお約束します、専務。」


その彼女の真剣なまなざしに、応えるように俺は答えた。だが・・・


「ダメ。」


「えっ?」


「普段は専務でも本部長でも構わないけど、こうやってふたりきりの時は前の通り、唯って呼んで。」


「でも。」


「ソウくんをこうして、身近に呼び寄せたことに下心がないなんて、今更言うつもりないよ。あなたに私が求めてるのは、ビジネス上のことだけじゃない、あなたとしか出来ない、して欲しいプライベ-トでのお・つ・き・あ・い。」


なんだよ、結局それかよ。マジな表情に絆されて、損したよ・・・。


「とにかく、営業本部長である白鳥唯専務には忠誠を尽くして働きます。それでは失礼します。」


もうこれ以上はと、話を打ち切って立ち上がろうとした俺に


「もうちょっといいでしょ?一緒にお昼食べようよ。」


甘えたような声を出して来た唯に


「ダメだよ。そろそろ戻らないと、河北さんにも変に思われるだろ。」


俺は釘を刺すが


「大丈夫。」


「えっ?」