Thirty’s

そうなれば室員たちは、自らの業務に取り掛かざるを得なくなり、そんな中、やや呆然としている俺に


「さぁ、取り敢えず行くよ。」


河北さんは声を掛けると、席に着くことなく、そのままオフィスを出て行くから、俺も慌てて続くしかない。


「あ、あの室長・・・。」


部屋を出て、声を掛けると


「営業本部長期待の星の教育を部下任せになんか出来ないでしょう。」


俺の疑問など聞くまでもないとばかりに河北室長は答える。


「えっ?」


「その代わり、ビシビシしごくからね。ちゃんと付いて来てよ。」


そう言って、河北さんはニコリと微笑む。これまでの颯爽とした言動とのギャップに、思わず面食らっていると


「ボヤッとしない!」


一転、喝を入れられ、我に返った俺はまた河北さんの後をついて歩き出す。


まずは関係部署への案内と挨拶回り。そしてオフィスに戻って、今度は面談室で営業本部総合企画室とはなんぞや、そしてその担当業務とはなんぞやということを縷々説明していただいているうちに、チラチラと時計に目をやった室長が


「じゃ、午前中の話はこの辺にして、そろそろ営業本部長に挨拶に行くよ。」


「えっ?」


なんて言い出すから、またまた驚かされる。けど


「ウチは本部長直轄の部署だから。当然、本部長との接触の機会も多いからね。」


河北さんは平然たるものだった。