Thirty’s

すると中にいた企画室のメンバ-の注目を一斉に浴びる羽目になり、少々照れ臭さを感じていると


「それじゃ、朝礼を始めます。」


室長の言葉に、室員たちが立ち上がった。


「おはようございます。既にご存知の通り、本日から私たちに新しい仲間が加わりますので、まずはみなさんにご紹介します。沖田くん、よろしく。」


「はい、沖田総一郎です。この度、辞令を拝命し、着任いたしました。前の職場も含め、営業の現場一筋でやって来まして、本社スタッフ勤務は初めてとなりますが、みなさんのご指導を仰いで、1日も早く戦力になれるように、精一杯努めますので、よろしくお願いします!」


緊張気味にしゃべり始めたのに、最後はやっぱりいつもの調子になってしまった。俺が挨拶を終えると続いて河北さんが口を開いた。


「沖田くんは今、本人も言っていたようにスタッフ勤務の経験はありませんが、ウチに来る前はAOYANAさんでも優秀な成績を上げ、当社に転職されてからも、抜群の成績を挙げていて、今のウチの営業の強みもまた問題点も知り尽くしています。その経験や知識を生かして必ず、この企画室の大きな戦力になってくれると、私は期待しています。」


(ちょ、ちょっと、あんまり期待値上げないでくれよ・・・。)


過剰評価としか言えない河北さんの言葉に、俺が内心焦っていると


「沖田くんには、当面私についてもらって、いろいろと覚えて行ってもらうことにしますので、みなさんもよろしくお願いします。」


と続けると


「室長が自ら教育担当かよ。」


「凄い待遇だね。」


室員からは驚きの声が上がり、俺も思わず河北さんの横顔を見てしまう。だが、俺の戸惑いや室員たちの驚きを意に介する様子もなく、河北室長はその後も話を続けると


「では、本日もよろしくお願いします。」


と朝礼を締めてしまった。