Thirty’s

茉莉と一緒に食堂に向かうと


「やっぱり何かありましたよね?」


と茉莉。


「えっ?」


「今日の係長、本当にノッてるって言うか・・・輝いてます。」


「私、いつもはそんなくすんでる?」


私が問い返すと


「そうじゃなくて一段と、ってことです。」


茉莉が慌てて、ブンブンと首を振っているから


「そう。じゃ、素直に誉め言葉として受け取っておくね。ありがとう。」


私は笑顔で言った。その後、いろいろと探りを入れて来る茉莉を、適当にはぐらかしながら、昼食を食べ進めていると、ポケットのスマホが震え出した。見れば、総一郎からの着信。


「ちょっとごめんね。」


茉莉に断って、席を立った私はそのまま食堂を一旦出た。


「もしもし。」


『仕事中にごめん。今、大丈夫か?』


「お昼休みだから。で、どうしたの?」


『さっき、正式に辞令をもらってさ。』


その総一郎の言葉に、私の中に緊張が走る。


『やっぱり本社だった。営業本部総合企画室って所。』


「そうなんだ。何をする部署なの?」


『営業全体をまとめながら、営業戦略を考えて、各営業所のサポートをする部署なんだそうだ。』


「そっか。難しそうだけど、でもやり甲斐のありそうな部署じゃない。」


『うん。だけど、前の会社でも今の会社でも現場一筋でやって来た僕に勤まるのか、少々心配だよ。』


「見込まれて行くんだから、大丈夫だよ。とにかく栄転なんだから、今夜はお祝いだね。私もそんなに帰りが遅くならないはずだから。」


『ありがとう、じゃ。』


「うん。」