Thirty’s

「加奈。」


「うん?」


「僕は・・・。」


ここで一瞬、言葉を途切らせた彼だったが


「これからも、加奈と一緒に歩いて行きたい。」


そう言い切った表情が、本当に凛々しくて、私の目から、思わず涙がこぼれる。


「ちょ・・・泣かないでよ。」


慌てたように言う総一郎に


「だって・・・嬉しいんだもん。」


私は泣きながら笑う。


「今日、ちゃんと聞きたかった。総一郎が、私との未来をどう思ってるのか。だから、本当に嬉しかったよ。」


「加奈・・・。」


「私も、ちゃんと、あなたと同じ方向を向いて歩いて行く。」


「わかった、ありがとう。約束だ。」


「うん、約束。」


見つめ合う私たち。その向こうでは、レインボーブリッジの灯りが静かに東京湾を照らしていた・・・。


◇ ◇


夜、お台場から帰る電車。


加奈は、いつの間にか、俺の肩にもたれたまま、眠ってしまっていた。そんな彼女の寝顔を、俺は見つめている。


(こんな時間が、ずっと続けばいい。)


心の底から、そう思っていた。