Thirty’s

午後になり、私たちは新橋駅へ向かうと、そのまま、ゆりかもめのホームを目指す。


「久しぶりだな、ゆりかもめに乗るの。」


「そうだなぁ。仕事じゃ乗らないし、付き合い始めた頃に一回、一緒に乗って以来かもな。」


「そうだね。」


そんなことを言いながら、笑い合っているうちに、列車がホームに滑り込んで来た。


運よく最前列近くの席が空いていて、私たちは並んで腰を下ろした。


列車がゆっくりと動き始める。高層ビルの間を抜け、視界が一気に開ける。


「わぁ……。」


思わず声が漏れた。


東京湾が陽射しを受けてきらきらと輝いている。レインボーブリッジ、その向こうには、お台場の街並み。


「きれい。」


私は窓に顔を近づける。その横顔を見つめながら、総一郎はふっと笑った。


「どうしたの?」


「いや。今日一日、加奈がずっと笑ってるなって思って。」


「当たり前じゃない。」


「えっ?」


「だって、楽しいんだもん。」


そう言って、私はまた笑う。本当に心からの笑顔だと、自分でも思う。


「そうだな、僕も楽しい。」


そんな私を見て、総一郎も笑うとそっと私の右手を握る。


私はその手を握り返した。