Thirty’s

レストランを出て、銀座の街を歩いていると、一軒のアクセサリーショップが目に入り、私の足が止まった。


ショーウインドーに並ぶ小さなネックレス、指輪、イヤリング。


「気になる?」


総一郎が聞いて来る。


「ううん。」


私は首を振った。


「見てただけ。」


「良かったら入ろうよ。」


「ううん。」


慌てて首を振る。


「今日はそういう日じゃないもん。」


「そうなの?」


「うん。」


私は笑う。


「総一郎の本社異動が正式に決まったら、記念で買ってもらおうかな。」


「それでいいの?」


「うん。」


頷いた私の顔を見ながら、少し考えた後


「じゃあ、そういうことにしてもらおうかな。」


総一郎は笑顔で言った。


「楽しみにしてるから。」


「ちゃんと約束を果たせるように、頑張らないと。」


「ふふ。」