Thirty’s

ということで、今日は都内を巡ることにした私たち。


「で、どこへ行くの?」


私が尋ねると


「まずは銀座に向かって、ぶらついて、昼ご飯を食べて・・・ここまでは決まってる。」


「えっ、その後は?」


「ごめん。本当はちゃんと考えたかったんだけど、正直、余裕がなくてさ・・・。」


総一郎はそう言って、申し訳なさそうな表情を浮かべる。


「そっか。」


「だから今日はあとは気分次第。一緒に歩いて、一緒に決めようと思った。」


「うん、わかった。」


私が笑顔で頷くと、彼はホッとした表情になる。


「じゃ、行こうか。」


「うん。」


そう言い合うと、総一郎は黙って私の手を握り直した。私もその手を握り返す。


「総一郎。」


「うん?」


「今日ね。」


「うん。」


「手を繋ぐだけで、なんか幸せ。」


そう言って、彼を見ると


「僕も。」


総一郎は照れ臭そうに笑う。


「なんか高校生みたい。」


「いや。」


「高校生の頃、君とこんなふうに手を繋ぐことなんて、想像すら出来なかった。」


今度は真面目な顔で、首を振る総一郎。


「そっか、そうだよね・・・。」


「あの頃は、加奈が近くにいるだけで緊張してた。」


「またまた。」


「本当だって。」


そんな他愛もない会話が嬉しかった。話題なんて何でもいい。一緒に笑えることが嬉しいのだから・・・。