Thirty’s

そして、この日は実家でもう一泊する親友と別れ、ひとり電車に揺られながら、私は改めて考えていた。


(そうか、唯さんも大変なんだな・・・。)


彼女がわざわざ、役所の前で待ち伏せしてまで、私に宣戦布告して来てから、もう二ヶ月近くが経とうとしている。その間、多忙な日々を送りながらも、彼女の存在はずっと気になっていた。いつまた現れるのか、あるいは総一郎に直接接触して来るのではないか?正直、気が気ではなかった。


でも一向にアクションを起こす気配のないまま、時が流れ、そして今日悠の話を聞いて、わかった。今の彼女に、私たちの仲に横やりを入れるような余裕や時間はないのだと。総一郎が本社に呼ばれるという話が引っ掛かってはいたけど、たぶんそれは考え過ぎというものだろう。だとしたら、もう彼女の影に怯える必要はない。


(そう、私たちは、お互いの気持ちを改めて確かめ合い、前に進むだけ。)


明日は総一郎もお休み。一緒に出掛ける約束が出来ている。そんなことを考えていると、LINEの着信音が。スマホを確認すると彼からだ。


『親友たちとの久々の時間、楽しんでるかい?僕は明日に備えて、先に休ませてもらうから、気を付けて帰って来てな。』


『ありがとう、もう電車に乗ってるから、これから帰ります。明日はよろしくね。』


すぐに返信すると


『こちらこそ。楽しみにしてる。』


これまたすぐに返信が来る。


『私も。』


と打ち返す。


(本当に楽しみ、だな・・・。)


私の心は弾んでいた。