Thirty’s

「こんなこと言ったらなんだけど、悠を見てたら、子供ってその気になったら、すぐに授かれるものだと思ってた。でもさ、同棲時代から数えたら、もう4年目になろうとしてるのに、全く赤ちゃん来てくれる気配がないんだもんなぁ。」


「由夏・・・。」


「こればかりはタイミングだよ。だいたい私の場合、少なくとも最初の妊娠の時は、まだその気になってなかったし。」


「そっか・・・。」


「聡志は焦らずに自然に任せようって言ってるんだけど、でもここまで授からないと、何か原因があるんじゃないかって、つい考えちゃうんだ。」


「あんまり考えすぎて、自分を追い込まない方がいいよ。」


「うん・・・でも三十にもなるし、正直焦ってる。」


「由夏・・・。」


「それに聡志が居る時はいいんだけど、遠征に行っちゃったりすると、やっぱり寂しいし、周りに友だちもいないし、家事だってそんなにあるわけじゃないから、時間も持て余しちゃう。そんな状態でただ家にいるんじゃ、聡志にも申し訳なくて・・・。」


「そんなことねぇよ。」


浮かない表情でそんなことを言い出した由夏に、先輩が声を掛ける。


「今時、こんなことを言うと、昭和だのなんだの言われてしまうかもしれないけど、でも働いてる男の立場からすれば、家をキチッと守ってくれる奥さんの存在はありがたいの一言だぜ。ましてツカは普通のサラリ-マンじゃないんだから、由夏さんのサポ-トがなかったら、どうにもならないのは間違いない。」


「聡志もそう言ってはくれてますけど・・・。」