Thirty’s

翌朝、目を覚ますと、隣のベッドはもう空だった。身体は重いが、今日も仕事は満載だ。ベッドを抜け出すと、リビングへ向かう。


ダイニングテーブルには朝食の準備がされており、横にはやはり、メモが置かれている。


『おはよう。今日は現場なのでいつもより早いから、先に出ます。行って来ます。』


(だったら昨夜のメモにそう書いておいてくれれば、無理にでも起きたのに・・・。)


そんな思いがよぎる。


でも、本当はわかってる。少しでも長く私を寝かせておこうという、彼の心遣いなんだって。


いつもなら、素直にありがとうと思える。だけど、今は・・・。


『彼の優しさに付け込むのはもう止めて下さい。』


昨日の唯さんの言葉が、また頭の中に甦る。


気を取り直して、慌ただしく朝食を済ませ、身支度を整えると、私は家を出た。


向かった先は霞が関。


日本の行政の中心。その一角に、私の職場「厚生労働省」はある。