キャリア官僚としての自分を捨てる選択肢なんかない。
茉莉にはそう決めつけられてしまったが、実際のところ、私の中にその選択肢はある。総一郎と付き合い始めてから少ししてから私は言ったことがある。
「もしこのまま、ずっとスレ違いが続いて、どうしてもあなたか仕事か、どちらかを選ばなければならなくなったとしたら、私は絶対に総一郎を選ぶから。」
すると驚いたように、私を見た総一郎は
「いや、それはダメだよ。もし、君にそんな選択をさせるようなら、僕は君の人生パートナーとして失格だよ。」
慌てて頭を振った。つまり私が仕事を辞めて、彼を支えるという選択肢を望んでもいないし、喜んでもくれないことは明らかだった。だからと言って、茉莉の言うように総一郎に転職や退職を求めることも私が望んでいない。転職はまだしも、彼が退職して家庭に入り、私を支えるなんて図式は、彼が望むとは思えないし、第一私が受け入れられない。
男は外、女は内――そんな考え方が古いことくらい、もちろん分かっている。それでも、総一郎が家庭に入る姿だけは、どうしても想像できなかった。
そんなことを考えてる間にも、時は流れていく。ハッと我に返ると
(今日は午後から天気が悪くなるって言ってるし、グズグズしてると洗濯物が乾かなくなっちゃう。)
食器の後片付けと洗濯をしなきゃと立ち上がった私の目に、点けっぱなしだったTV画面が飛び込んで来た。
(そうか、今日は。)
春の選抜高校野球大会の開会式の映像だった。
(また始まるんだ・・・。)
何を隠そう、総一郎はかつて高校球児だった。甲子園にも出場し、母校が優勝を決めた瞬間にマウンドにいたこともあるエースピッチャ-だったんだ。彼にとって「高校野球」はあの時も今も変わらない大切なもの。
(総一郎も見たかったろうな・・・。)
ふと、そんな思いに囚われた。
◇ ◇ ◇
茉莉にはそう決めつけられてしまったが、実際のところ、私の中にその選択肢はある。総一郎と付き合い始めてから少ししてから私は言ったことがある。
「もしこのまま、ずっとスレ違いが続いて、どうしてもあなたか仕事か、どちらかを選ばなければならなくなったとしたら、私は絶対に総一郎を選ぶから。」
すると驚いたように、私を見た総一郎は
「いや、それはダメだよ。もし、君にそんな選択をさせるようなら、僕は君の人生パートナーとして失格だよ。」
慌てて頭を振った。つまり私が仕事を辞めて、彼を支えるという選択肢を望んでもいないし、喜んでもくれないことは明らかだった。だからと言って、茉莉の言うように総一郎に転職や退職を求めることも私が望んでいない。転職はまだしも、彼が退職して家庭に入り、私を支えるなんて図式は、彼が望むとは思えないし、第一私が受け入れられない。
男は外、女は内――そんな考え方が古いことくらい、もちろん分かっている。それでも、総一郎が家庭に入る姿だけは、どうしても想像できなかった。
そんなことを考えてる間にも、時は流れていく。ハッと我に返ると
(今日は午後から天気が悪くなるって言ってるし、グズグズしてると洗濯物が乾かなくなっちゃう。)
食器の後片付けと洗濯をしなきゃと立ち上がった私の目に、点けっぱなしだったTV画面が飛び込んで来た。
(そうか、今日は。)
春の選抜高校野球大会の開会式の映像だった。
(また始まるんだ・・・。)
何を隠そう、総一郎はかつて高校球児だった。甲子園にも出場し、母校が優勝を決めた瞬間にマウンドにいたこともあるエースピッチャ-だったんだ。彼にとって「高校野球」はあの時も今も変わらない大切なもの。
(総一郎も見たかったろうな・・・。)
ふと、そんな思いに囚われた。
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