Thirty’s

「いただきます。」


「いただきます。」


手を合わせて、私たちは箸を手に取る。


「昨日も遅かったみたいだね。」


「ごめん、起こしちゃった?」


「シャワ-の音が聞こえたから、でもすぐにまた寝ちゃったんで。」


「そっか。そう言えば、昨日もお夕飯作ってもらっちゃったみたいで。引越し作業であなたも疲れてたのに・・・。」


「たまの肉体労働だから、ちょっと疲れたのは確かだけど、でも全然大丈夫さ。」


そう言って、総一郎は爽やかな笑顔を向けてくれる。その笑顔は嬉しいけど


「無理しないでね。」


思わず言ってしまうと


「それはこっちのセリフ。今更だけど、国家公務員の仕事、ハード過ぎるよ。君が身体を壊さないか、本当に心配だよ。」


逆に心配されてしまう。


「もう慣れちゃった。それに、国会が落ち着けば、少しは楽になるだろうし、六月には異動もあるだろうから。」


私も笑顔で答えるが、総一郎は本当?って顔をしている。もう二年、一緒に暮らしているから、私の言葉が気休めだとわかっちゃってるのだろう。


それでもこうして彼と笑顔を交わしながら話せる時間は、私にとっては本当に大切な時間。でも、気がつけば、時計の針は容赦なく出勤の時間へ近づいていた。