Thirty’s

幸い、この日は渋滞に巻き込まれることなく、出迎えの旦那さんに挨拶をすると、すぐに搬入に取り掛かる。


旦那さんの指示を受けながら、家具を一つずつ運び込んでいく。


「それはリビングです。」


「ベッドは奥の部屋へお願いします。」


指示は的確で、作業は驚くほど順調に進み、遅れてやって来た奥さんたちが到着してまもなく


「作業完了です。まず、トラックの中に荷物の下ろし残しがないかのご確認をお願いします。」


俺はそう声を掛ける。そして、旦那さんに荷台を確認して貰ったあとは、作業後の状況を一緒に確認していただくと


「全て大丈夫です、ありがとうございます。」


との言葉をいただき


「こちらこそ、ありがとうございました。」


俺はスタッフと共に、一礼した。それではこれで失礼いたしますと言った俺に


「よろしかったら、皆さんでお飲みになって下さい。」


と奥さんがレジ袋に入ったペットボトルを差し出して来る。


心付けは受け取れない。でも、こうした飲み物は別だ。


「ありがとうございます。」


スタッフを代表して頭を下げると、また車上の人となる。次の現場が待っている。