Thirty’s

作業が始まった。まずは大型家具、家電の解体、搬出。


「どんな仕事でも同じかもしれないが、とにかく俺たちの仕事は『急いで慌てず正確に』、これに尽きる。慎重に作業してて予定時間内に終わりませんでした、慌てて移動中に事故起こしちゃいました、なんて絶対に許されないんだ。」


初めて現場に入った日、先輩に言われた言葉が忘れられない。その言葉は、営業になった今でも大切にしている。


現場が困らない見積もりを作る。その先に、お客様の満足がある。俺はそう思っている。


その点、たまたま今回は自分が見積もった案件であり、俺は作業完了まで、アクシデント対応の為の予備タイムを含めて4時間と踏んでいた。


「荷造りもキチンと終わってるし、もっと早く行けそうかな?」


荷造りは搬出までに終わらせてもらうよう、お客様には契約の時にお願いするのだが、実際には


「ごめんなさい、終わりませんでした~。」


と泣き付かれたりするのは、正直よくある話。


「大丈夫でしょ。」


俺の問いに、平山は自信ありげに頷いた。実際、バイトふたりを含んだスタッフたちの動きにロスはなく、いかにも手慣れていた。


搬出作業を終え、俺は時計を確認する。


(二十分の貯金か、悪くない。)


トラックのドアを閉める。エンジンが静かに唸り、俺たちは次の現場へ向かった。