父親が大物政治家だった山本先輩は、学生には分不相応なくらい裕福だった。
いつも周りには人が集まり、後輩たちに食事を奢ることもしょっちゅうだった。
でも私は、その輪には入らなかった。嫌いというほどではない。ただ、どこか苦手だった。
それでも先輩は、私を見掛けると気さくに声を掛けてきた。
「加奈ちゃん、官僚志望なんだって?」
ある日、そう話しかけられた。
「はい。」
「国家公務員試験を受ける時は相談に来いよ。多少は力になれると思うから。」
「ありがとうございます。」
私はそう答えただけだった。
結局、一度も先輩を頼ることはなかったし、卒業後は自然と接点もなくなった。
だから数年後、その先輩が父親の秘書となり、厚生労働大臣政務秘書官として現れた時には、本当に驚いた。
もっとも、その頃の私は別の部署だった。関わることなどないだろう、そう思っていた。
ところが、その直後の定期異動で、私は大臣官房総務課へ配属されることになる。
着任の挨拶で大臣室を訪れると、先輩はめざとく私を認め
「そうか、希望通りに官僚になったんだな。加奈ちゃんが来てくれたなら百人力だ、まぁよろしく頼むよ。」
と、大臣の前で名前呼びされ、握手まで求められてしまった・・・正直、勘弁してほしかった。
いつも周りには人が集まり、後輩たちに食事を奢ることもしょっちゅうだった。
でも私は、その輪には入らなかった。嫌いというほどではない。ただ、どこか苦手だった。
それでも先輩は、私を見掛けると気さくに声を掛けてきた。
「加奈ちゃん、官僚志望なんだって?」
ある日、そう話しかけられた。
「はい。」
「国家公務員試験を受ける時は相談に来いよ。多少は力になれると思うから。」
「ありがとうございます。」
私はそう答えただけだった。
結局、一度も先輩を頼ることはなかったし、卒業後は自然と接点もなくなった。
だから数年後、その先輩が父親の秘書となり、厚生労働大臣政務秘書官として現れた時には、本当に驚いた。
もっとも、その頃の私は別の部署だった。関わることなどないだろう、そう思っていた。
ところが、その直後の定期異動で、私は大臣官房総務課へ配属されることになる。
着任の挨拶で大臣室を訪れると、先輩はめざとく私を認め
「そうか、希望通りに官僚になったんだな。加奈ちゃんが来てくれたなら百人力だ、まぁよろしく頼むよ。」
と、大臣の前で名前呼びされ、握手まで求められてしまった・・・正直、勘弁してほしかった。


