事務所へ続く道は石段やアスファルト、土の道が混じっていて和風なのか現代風なのか分からない。


着物を着ている人もいればドレスを着ている人もいる。





カランカラン



鈴が着いているドアを開けて事務所に入る。




一見喫茶店に見えるけど、、探偵事務所なんだよね、、?




「おーい帰ったぞー!」




元さんがそう言うと座っていた誰かがこっちを向いた。




「はーい!おかえりー!」

「お帰りなさいませ。」





「おう、とりあえずこいつに茶出してやれ。」




「かしこまりました。」

「わかったー!!」





奥のカウンターの中へ男性2人が入っていった。


やっぱりこの人達も人間では無いみたい、、






「えっと、おふたりはどう言う?、、」




「まぁ座りな。」




「は、はい。」




私は喫茶店のテーブル席に、巻さんはカウンター席に座った。



ソファは驚くくらいふわふわふかふかの雲のようでこのまま寝てしまいそうなくらいだ。



私がソファの感触に驚いていると男性の1人がお茶とケーキを持ってきてくれた。




「お待たせ致しました。」


「ありがとうございます、、!」


「いえ。」



その男性には髪が長くてよく見ないとわからないが、頭に角の様な物が生えていた。


眼鏡を掛けていて、華奢で女性的だが声が低いので男性だと分かる。




「綺麗なまつ毛、、、」




丁寧に紅茶を注いでいるその人の伏し目を見て、その長いまつ毛に見惚れてしまった。





「ありがとうございます。」



「あっ!ごめんなさい、つい。」



「いえいえ。」




そう言って彼が元さんの横に戻ると、元さんが口を開いた。





「よし。じゃあとりあえず俺たちの自己紹介でもしてやろう」





「まず俺は元。まぁいわゆる猫又のジジィだ。んでそっちの眼鏡が鬼の八、八でような。」




「あ、あのごめんなさい!猫又とか鬼とかって?妖怪って事ですか?」




「あぁそうだ。この世界は化け物しかいない。だから人間も食おうとするんだ。」




妖怪、、薄々気付いてたけどこの世界人がいないんだ、、


昔から妖怪は好きだったけど、思ったより人型でびっくり、、



「で、そこのでかいの犬みてぇなのは狛犬の朔だ。」



元さんに指を刺されたもう1人の男性は確かに犬の耳と尻尾が生えていた。





「どうだ。なかなか粒揃いの色男だろう?客にも評判なんだよ。」




確かに2人とも端正な顔立ちの美男子で、きっと私の通っている高校に居たらあっと言う間に人気者だ。



「は、はい。おふたりとも凄く綺麗ですね、!」




「私たちはホストじゃないんですよ。そればっかり売りにして、、、」



「まぁいいじゃん!みんな僕たち目当てでも依頼してくれるんだし!」





「あ、あの、それで両親がここに来てたって言うのは?、、」




「あぁ。あれは、、あいつらがちょーどお前さん位の歳だな、同じ様に迷い込んで来たのさ。そんでまぁ色々あってちょっと働いてたんだ。」




「じゃあ朔さんと八さんもお父さんとお母さんを知ってるんですか?」




「ん、いやぁそんなには覚えとらんだろうな、なんせあの時はお前ら赤ん坊だったしなぁ。」




「あっそうなんですね、、」





「あ、あと帰る方法だが、今のとこないな。」




「え?!ない?!また電車に乗ればいいんじゃないんですか?」




「それがそうともいかないんだよ。あの電車は本来人間界には繋がらないはずなのさ。だが最近よく繋がっちまってな、お前の世界で言う所のバグっつーやつだな。」





「でも私お金も家も無くて、、!どうしよう、、」



「あーそれはいいよ。俺が預かってやるよ。」




「え!いいんですか!?」





「おう。お前の両親には連絡しといてやるよ。」




「あ、ありがとうございます!!!良かった、、」




「おい八。アレ出してくれるか。」




「承知致しました。」




八さんがそう言うと、昔の黒電話を奥から出してきた。



ジー
ガチャ

ジー
ガチャ




電話をかけると
一瞬風が吹いたあと誰かに繋がった。




「あーもしもし?茜か?」




《はい?あれ!なに!元じゃん!どうしたの!》




「あーあのな今お前の娘預かってんだけど」




《え、なに誘拐?怖いんですけど》




「違ぇよ、お前は相変わらずだな。また繋がっちまったみてぇでな。」




《えー本当?ヤダーありがと》




「いや。んでとりあえずこっちで働かせるからな。」





《えっ、大丈夫?馨に出来る?私が言うのもあれだけど、あんまり体力とかないし、、》




「大丈夫大丈夫。お前の娘だ。素質無い訳ねぇだろ。まぁそんなあぶねぇ事はさせねぇから、じゃあ、よろしく」



《えっ、ちょっと待って!馨と話させてよ〜!》



ガチャ
ツーツーツー


切れてしまった、、




「よし。連絡してやったから、まずその人間丸出しをどうにかしないとな」




「は、はい。そういえば働くって、、?」




「んー、まぁ預かるにしてもお前も暇だろ。俺らもそんな金ないし、居候代として、な」




よくわかんないけどバイト経験あるから大丈夫かな、、?



「分かりました、、!お世話になります!よろしくお願いします。」



「おう。」

「はい。」

「よろしくね!」



働くってどう言う事をするんだろう?
そういえば祓うとか言ってたよね、、
陰陽師、みたいな?



不安だな、、