一粒のラムネ

「ねえ、ちょっといい?」

彼氏と教室で話していた時。

クラスの一軍達から話しかけられた。

またいつものか、と思いながらも、あたしは「何?」と少し強気で返答してみる。

「…今日も屋上ね?」

あたしにコソッと耳打ちしてくる女の子。

ああ、やっぱり。嫌だなぁ、行きたくないなぁ。

彼氏は気が強かったから、運良くターゲットに選ばれなかった。

そこのところは本当に良かったんだけど、まさかあたしがターゲットなんてね。

タチ悪いな。一対三じゃん。勝ち目ないじゃん。

まあ、そもそも口出しできる勇気もないんだけど。

「ごめん、今日も先帰っててくれない?」

彼氏に申し訳なさそうな顔を作り、顔の前で手を合わせる。

「…うん、分かった」

多分、彼氏も薄々勘づいているんだと思う。

そこを深堀りしてこないのは、正直助かる。

あたしは別にこのままでいいし。彼氏と付き合えるだけで幸せだから。


そんなのは、あたしの強がりなんだけどね。