私の友達はいなくなった。

クラスメイト全員、私達を冷たい目で見てくる。

私とは距離を取り、〝同性愛は気持ち悪いもの〟として扱っているのだ。

私の人生は、そこから狂い始めた。

天と地が逆転したような、そんな感じ。

今まで私の周りに沢山いた子達も、私が彼女と付き合い出すと途端に近寄ってこなくなった。


「あ、あれって噂の同性愛…?」

「うわっ、まじだーwきもすぎー」

彼女と二人で廊下を歩いていると、聞こえてくるそんな声。

同性愛の何が悪いのかな。私は最近、そんな疑問を持つようになっていた。

別に同性愛が〝きもい〟っていう証拠もないし、ただ周りに同性愛者がいなかっただけ。

生まれ育った環境に、〝同性愛〟という知識が欠けていただけだ。

「…あんな奴、気にしなくていいよ?」

どうやら、彼女は思い詰めているらしい。

彼女は優しい。

どんな時にも私を気にかけてくれるし、どんな人にも平等な扱いをする。

けれど、自分となったら別なのだ。

自分のことを〝価値のない人間〟と思っているばかり、こういう悪口には弱いんだと思う。

彼女は、自分のことを下げすぎなのだ

もっと自信を持っていいのに。可愛いし、優しいんだから。

「…ありがと。そうだよね、気にしない方がいいよね」

彼女は花が咲いたようにニコッと笑った。

私はその笑顔に、心から安心した。

目の下に、少しクマがあった。