タイミングが悪かった。

 いつもだったらこっちの店でもワインバーの方でも、私が顔を出せば嬉しそうに満面の笑みを浮かべて歓迎してくれて、愛情がいっぱい詰まった仕草や会話で頭から爪先まで可愛がってくれるんだ。

 メンタルのメンテのプロ。私だけのプロ。他のB子だとかD子だとかG子だとかは、気がついてない。そうでしょ、そうだもん。私のケアが、特別得意なんでしょ。

 だけど今日はB子との逢瀬の約束に夢中な様子で、肌見せ限界レベルのダメージデニムを私の目の前で脱ぎ去って、アフリカンバティック大階段のスリット入りすぎじゃね!?系ロングスカートに履き替えてウキウキと出かけて行った。

 よろしくね、と私とは違う誰か用に作ったえくぼ浮かべて、168cmのひょろっこい体に乗っかってる頭のてっぺんに、通りすがりざまにキスを落として。
 もう、ひどいんだから、すき。