沢山じゃないことに安堵した。でも一輪でも折れたと聞くのはやっぱり悲しい。
気を落とす私に、校長先生は他の倒れてしまっている花を手に言った。
「折れたからって捨てるわけじゃないのよ?庭園を卒業して、今度は切り花として飾りましょ」
「切り花……」
「押し花だって出来るしねっ。すべて折れた花はわたしが綺麗にするから。放課後、美化委員は切り花を受け取りにくるよう流して欲しいと放送部に頼んでもらえる?」
「はい!分かりました」
「ふふっ、元気出たみたいね。……それじゃあ、今日も頑張って下さいな」
「はいっ」
──校長先生と別れ、続々と登校してくるクラスメイト。
それから私は同学年の放送部の子に、切り花の件を伝達し、朝のホームルームで流してもらえることになった。



