「謝れてえらいね」
夢莉くんの言葉に泣きそうだった表情が和らいだものになった。
言葉をかけ直ぐ様立ち上がる。
「──なんて、言うと思ってるの?二度とすみれに近付かないで」
そんな声どこから出せたのか、その顔からは想像できないほど低かった。
夢莉くんと蒼葉くんが前に出る中、千莉くんが私の隣に居て、"大丈夫?"とか"怪我してない?"と声をかけてくれていて。
「行こ!すみれ」
今しがた低音ボイスを聞いたばかりの夢莉くんの切り替えのはやさはなんとも言えない。
こちらを向いた時には、私が知ってる顔と声だった。



