本来なら、近距離の美形に頬を赤くしてしまう流れ。
だけど女子の顔は赤くなるどころか、青ざめていく。
「ねぇ、早く答えてよ。……授業、始まっちゃうんだけど」
先ほど私が言われた言葉を真似て、夢莉くんは一歩ずつ後退する女子を追い込んでいく。
いつもにこにことしている夢莉くんのはじめて見せる怒りの顔に、他の女子たちは耐えかねて、階段をおりようと一人を置いて走りだす。
しかし、静かにかつ無表情で階段をのぼってくる蒼葉くんに、女子たちは逃げ道をなくした。
そして、最後の一段をのぼりきった蒼葉くんが来て、三人揃った。
怒っている三人が──



