『そりゃびっくりはするよ。でも……』
『でも?』
机に肘をつきながら、緋衣くんは私を見上げ、軽く首を傾げた。
『良かったなって』
『良かった?』
『私、美化委員をやってて……って知ってるんだっけ。まぁ、だからね……学園では育てても、家に持ち帰ったことはなかったから、きっかけはどうあれ嬉しかったの』
私は緋衣くんに一歩近付いた。
『自分が育てて咲いた花を、こうして飾れて。人になるとは予想外過ぎたけど……花に戻れるなら、花瓶に入れてもいいの?』
『……ああ。後こいつら、このまま寝るって』
『そっか……え?今なんて?』
『このまま寝るって』
『もしかしてこの状態の二人、会話してるの?だからにわかに動いてるってこと?』
だとしたら、また驚くことが増える……
『だな。お互いもとは花なんだからわかる。……ま、お前が花に戻った俺らが話してるかどうかは動きで見りゃわかるだろ。何とまではわからなくてもな』
『そ、そういうものなのね……』



