目的地は花が種類別にされている庭園。
「はぁ……はぁ」
息を乱しながら着いた庭園には、既に先客がいて──私はその後ろ姿に歩み寄った。
「校長先生っおはようございます」
「あら、おはよう」
振り向いた校長先生は、私に笑顔を向ける。
この学園に花が多いのは、この校長先生の意向だと入学前に聞いた。
ウェーブのかかる栗色の髪をなびかせ、明るめなスーツのセットアップに胸元の花のブローチ……それにハイヒール。
見た目は少し派手な印象を受けるけど、若くして校長となった理由が中学生の私にも感じさせる程優しく、穏やかで、真面目な方。
ちなみにブローチは日によって変わる。
でも、同じデザインのブローチを見たことないような……



