花系男子はアナタっ子


「俺から聞くのは珍しいだろうし、一度しか言わねぇから、ちゃんと聞けよ」

蒼葉くん自身から珍しいことを言う宣言に、私はもう固く口を閉じ頷くだけにした。

そして蒼葉くんは、小さく息を吐いて私を見据えると、その言葉を口にした。




「お前のことが好きだ──」



言葉の後に吹いた風が、花の香りを運び鼻を掠め、私の目がゆっくりと見開かれていく。


「えっ、えっと……」

「……驚くとは思ったけど、そこまでかよっははっ」

ずっと口をわなわなさせているだけで、いっこうに呂律のまわりそうのない私を見て、蒼葉くんは笑った。
その笑顔も、普段より何倍も柔らかくて……

「……でも、俺が言ったのは少し意味が違うから、そこんとこ勘違いしないでおけよ?」

「意味が違う……って?」

「だから……その……アレだ」

アレ?
首をかしげれば、蒼葉くんは少し頬を染めた。

「……俺しか見んなって意味の好き、だよ」

「え、それはその……れ、れん、恋愛的な意味の?ってこと、でしょうか?」

「そう、言ってんだろうが……」

「っ!?」


まさかね、なんて思ったのに……
頷かれてしまい、ぶわっと顔に熱が集まっていく。
だけどその熱と共に、雫が頬を伝っていった。