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「──えー!?ぼくも誘ってよ!」
「ずるい僕も起こして欲しかった」
バスの中、急に昨日のことをカミングアウトした橙果くん。
そのせいで一番後ろの私たちの席だけ、やたらとうるさい。
橙果くんの手の中にいるひまわり状態の太陽くんも、動きが忙しない。
そういえば合宿中、太陽くんが人型でもバレなかったし、橙果くんの荷物の中に袋にくるまれながら来たみたいだけど、こんなバレないものだとは思わなかった。
「じゃあ今度、皆ですみれちゃんの愛情チャージに出かけてみないかい?」
『愛情チャージ?』
「すみれと出かけるなら、ぼく賛成!」
「僕も」
「……俺も」
「決まりだね。後は場所だけど……ん?」
橙果くんは、太陽くんに目を向けると、ひまわりの花が窓の外に向いた。
それを見ていた千莉くんが私に分かるよう通訳してくれる。
「あれ見て下さいよ、あの下のでっかいやつ……」
家電ショップに飾ってある複数のテレビのことをどうやら言っている、とのこと。
そこにはCMが流れていて、
「……フラワーパーク、って書いてあるぞ。あと──」
窓際の蒼葉くんが場所を読み上げてくれる。
「住所的にも遠くないね。そこにしようか?」
橙果くんの問いに、私たちは満場一致で頷いた。



