「なんとなく、こんなことではないかと思ってたよ蒼葉くん」
「橙果?」
前から来た橙果くんは私たちの少し上に腰を下ろした。
「様子を見に、ね。ここ何日か蒼葉くんに元気がなかったから。気になっていたんだ」
「ご、ごめん……私、気付かなくて」
「僕ら花同士だから分かることもあるから、そこは仕方ないことだよ。だから、そう落ち込まないで?」
「……俺も薄々感じてたが、お前がやたらこいつのそばにいたの、開花時期が終わって今にして違和感があったからだろ?」
え──?
「さすがだね。後は太陽くんだと思ったんだけど、彼はピンピンしているし……不思議だよ」
「太陽は元気が取り柄だしな」
橙果くんもだったなんて……
私、皆のこと見てるようで全然見れてないのかも……
「で、蒼葉くんはすっかり顔色よくなったってことはすみれちゃんと何をしたの?」
「は!?」
にこにことして橙果くんは尋ねてきた。
「ほら、双子くんは一緒に寝たり、僕もそばにいることが多かったけど……君に関してはとても興味深い。いつもクールだから」
「い……一時的に俺の積極性が高まった、としか」
「うまいこと言ったね?」
「うっせ……ほら、さすがに寝ねぇともたないぞ明日!」
再度私にお礼を言い、歩いていく蒼葉くん。
「フフッ照れているね、あれは。でも本当に寝ないとだ。僕も戻るよ、また明日ね」
「うん、おやすみ」
二人を見送り、自分の不甲斐なさに反省しつつ私も部屋へと入った。



