花系男子はアナタっ子


──夢莉くんや千莉くんのような、見た感じ苦しそうっていうのはなかったけど、蒼葉くんの顔色がだいぶよくなった。

どれくらいくっついていたのかは、わからないけど。
同じタイミングで部屋に来た蒼葉くんと下におりた私ですれ違ってしまったらしい。
ノックをしようとしたけど、出来ずにいたら私が来て驚いた、と。


「悪かった……」

落ち着いたところで、改めて隣に座った。

「……太陽くんたちは?大丈夫?」

「お前に普段から、やたらくっついたりしてるからか、やっぱ鈍感なのかはわからねぇけど……問題ない」

「そっか……」

「双子も太陽もお前から借りた物、手に持ちながら寝てたし、橙果のやつも枕横に置いてたな」

……ちょっと想像してしまった。
きっと可愛いもの。双子も太陽くんも。
橙果くんは美形枠。

「じゃあ……蒼葉くんは?」

「俺は……」

「俺は?」

「鞄ん中。……でもその鞄は布団からすぐ届く場所に置いてたんだ。俺もアイツらみたいに握って寝れば良かったのかと、とっさに出したが遅かった」

私の私物に効果があるのかはわからないけど、蒼葉くんもごりやく信じてくれてたんだ……

「……でも、お前が気にかけてくれてたおかげで、すっかり元気になった。……ありがとな」

「っ、それなら良かっ──」

「俺らはお前がいないと駄目になるらしいってのも改めて思った。だからこれからは俺も、自分からお前の愛情もらいにいくから、覚悟しとけよ?」

「えっ……えっと、は、はい……!」

なんだかいつもより蒼葉くんの表情が柔らかくて、見とれてしまった。

「そんな構えなくても、いつも通りにしてるだけでいい。俺がアイツらとお前の取り合いするだけだ」

「取り合っ──」