花系男子はアナタっ子


ただ悩み悶々としているより、一回だけ……一回だけ廊下から東館の方を見て、大丈夫そうなら無理矢理にでも寝ることにしよう。
そう決めて、カーディガンを羽織り静かに部屋を出た。

「……カーディガン着てきたけど、思ったよりあったかいな」

外を見ればまだ吹雪いていて、明日までやむのかさえ疑いたくなる。

……窓、くもってる。
絵、書いたりしたら怒られるかな?

ついやりたくなり、ぴとりと人差し指で窓ガラスに触れたけど、

「冷たっ」

予想以上の冷たさに、勢いよく指を引っ込めた。

いけない、いけない。騒いだら先生出てきちゃうかも。
前はもちろん、度々後ろも警戒しながら、私は受付の方へと向かった。


ちらり──顔をのぞかせ、奥にある東館を見つめる。

先生達の姿は、ない……ま、夜中だもんね。部屋では起きてるかもしれないけど。

東館の方にも誰も見当たらないから、部屋からここへはおりてきてないってこと。

「……大丈夫そうかな」

私が悩みすぎていただけだと、ひとり苦笑いをして戻ることにした。