花系男子はアナタっ子


──冷えた体にご飯と温泉はもの凄く至福のひとときで、他のお客さんは居ないからと、ロビーで私たちはくつろいでいた。

普通のホテルや旅館に泊まるより自由な時間を過ごせたと思う。

「……そろそろか」

蒼葉くんが時計を確認すると同時に、部屋に戻るよう先生たちの声が聞こえてきた。

今回は旅館の受付から左右に分かれ、東館が男子と先生。西館が女子とされているため、消灯ギリギリまで一緒にいることは出来ない。
それでも、過ごせる範囲で五人と共にいたけれど……


「先に言っとくけど太陽、俺の布団に入んなよ」

「え」

「ぼくと千莉のお布団にもね」

「えっ……ちょ、なんか冷たくないです!?オ、オレを連れてきてくれた橙果くんはそんなこと言わないですよね!?」

「ん?まぁ、半分くらいならいいよ」

「よっし……え、半分?」

なかなかドライな皆に、喜ぶに喜べない様子の太陽くん。

「な、仲良くね?」

なんだかんだ言って、優しいから最終的には誰かの布団にいれてもらえるとは思うけど。

「あ、オレひまわりに戻るんで、すみれのところで朝まで過ごす!めっちゃいいアイディ──」

『入れるから』

ひらめいた!と嬉しそうに太陽くんは私のもとへ手を伸ばした。だけどその太陽くんの肩に四人とも手を置き、引き止めた。

これで一応、安心……かな?

双子や太陽くんに熱烈なハグをされ、私は手を振りながら部屋へと戻った。