「でもせっかくだし、すみれに滑る姿見てもらったらいいんじゃないかな」
「千莉の言うとおり!でも、かっこいいって思ってもらうのはぼくだけでいいんだけどね!すみれ、もう一回見ててっ」
手を振ってリフト乗り場の方へ向かう双子。
「……俺も行ってくる。太陽、お前林間学校の挽回はなしだな」
ふっ、と鼻で笑う蒼葉くん。
その挑発じみた笑みに、太陽くんに火がついて……
「い、いいでしょう!やってやりますともオレだって!蒼葉くん!なんなら、どっちがかっこよく滑れるか勝負しましょ!」
「勝負になるのかわからないけど、乗ってやるよ」
「よっしゃ!ってことで、オレも行って参ります!」
蒼葉くんを追いかけるようにして、太陽くんもリフトへ向かっていったのを見送り、
ちなみに、と私は橙果くんに目を向ける。
「橙果くんは、行かないの?」
「僕はいいかな。すみれちゃんと二人きりになることなんて、なかなかないからね。独り占めできる時間を堪能したいんだ」
「そ、そっかっ」
二人きりとか、独り占めとか、橙果くんはさらっと言う。……恥ずかしくないのかな。
「……フフッ、照れちゃった?」
「っちょ、ちょっとだけ……」
「可愛いね」



