花系男子はアナタっ子

寒いのか怖いのか、しゃがみこんで一歩も動いていない太陽くんが。

「……太陽、お前高いとこ怖いのか?」

「ち、違いますぅ!寒いだけですぅ!」

「声だけはいっちょ前に響くな」

人一倍あたりに響いた太陽くんの声に、あきれた様子で蒼葉くんは息を吐いた。

そしてこっちはこっちで……

「全力で否定するあたり、逆にあやしいんだけど。ぼく。ね?千莉」

「まあ、ほら……すみれがいる手前、怖いって言いづらいかもしれないし」

「聞こえてるからなそこの双子!」

こそこそと話す夢莉くんと千莉くんだけど、ばっちり太陽くんの耳には届いてたみたい。

「バカは風邪引かないって言うだろ。寒くても多少はいけるはずだろうが」

「だって!オレ、夏担当のひまわりなんですよ?だから寒いのは苦手で当たり前でしょう!?」

バカってとこは否定しないんだ……それこそ否定してもいいと思うのに。

「んでもってー……オレがあたたまるには、すみれ効果がいちば──」

「抱きつくより、滑った方があたたまるよ。太陽くん」

「橙果の言う通りだ。お前、まだろくに滑ってねぇだろ。ちょっとは動けよ」

私のもとに両手を広げて歩いて来た太陽くんを、橙果くんと蒼葉くんが立ちふさがって壁となった。

「ちょ、いらんこの壁ー!オレはすみれとらぶらぶしてるんで、皆はどうぞ、お滑りください、ませ!」