すぐに皆で下におりて座れば、お母さんは首をかしげた。
「あら?太陽くんだけどうかしたの?」
明らかにショボンとする太陽くんに、たまにしか会わないお母さんでも何かあったと分かるようで。
「……スキーにオレだけ行けないんですぅ。オレもすみれと滑りたかったのに」
「ん?でも三年生の橙果くんは行けるの?」
「ええ、僕は成績に問題がないので、行きたいならとまたも特例ですが、そう言われてます」
成績良いのね、とお母さんはケーキをテーブルに広げる。
「好きなの食べて良いからね」
「ぼく苦いの!って思ったけど、すみれふぁーすと!」
夢莉くんも、皆も、先に選びなって視線を向けてくれる。
「私は最後でいいよ?でも、ありがとう」
「あら、ふふっ皆優しいのね。でもすみれの言う通り、メンズファーストで」
私とお母さんはどうぞ、と笑って見せる。



