花系男子はアナタっ子

無理にとは言わねぇけど……、と言われなんだか私ももう少し話したい気になった。


「ちょっと夜更かし、だね」

「……ん」


と言ったものの、自販機のそばに合ったソファに腰掛けてから特に何を話すわけでもなく少しの間、沈黙が続いた。

でも不思議と気まずくはないんだよね……


「っくしゅ!」

「……寒いのかよ」

「いや、大丈夫。……っていいよっ蒼葉くん」

蒼葉くんは自分が着ていたパーカーを私にかけてくれた。
でも蒼葉くんが寒くなるから脱ごうとしたら、

「着とけ。俺は寒くねぇ」

顔を背けながらもそう言ってくれるから、甘えることにした。

「ありがとう。クールだけど……蒼葉くんって優しいよね」

「は?どこが」

「今も、普段も、かな」

意味わかんね、って顔をしてから、蒼葉くんは何かを言おうとしたけど、立ち上がってしまった。

「だとしたらそれは……いや、なんでもねぇ。そろそろ眠くなってきたろ」

「んーちょっとだけ」

「なら送ってく。ほら転け防止に」


暗いから、と部屋に着くまで蒼葉くんに手を引かれながら歩いた──



「お休みなさい、蒼葉くん。あ、パーカーありがと。ちょっとだけだけど夜更かし、楽しかった」

「あぁ……おやすみ」


──あ、蒼葉くんが笑った……


「なんだよ」

「な、なんでもないっ」

「変なやつ。ま、いいけど。また明日」


暗いから気のせいとかじゃない。今笑ってた。硬派でクールな蒼葉くんが……

「……また冴えてきたかも」