巫女&十二支擬人化男子、学園をナイショで守護してます!

『ぎゃああ!?』


 どこからともなく、屏風覗きの金切り声が聞こえた。


『なんてことを! 目を回して倒れている龍と虎なんて龍虎図として成立しない! これでは絵の世界が崩壊してしまう!』


 崩壊? ま、またなにか危険なことが起こりそうな気がするんだけど……。

 そんな嫌な予感のとおり、目の前に黒い大きな渦が現れてグルグル回転し始めた。

 これって絵の中に引きずり込まれたときと同じやつだ!

 とっさに身構えた瞬間、やっぱりすごい勢いで渦の中に吸い込まれてしまった。


「ひゃああ!」

「由巫!」


 洗濯機の中ってこんな感じ? ってくらい自分の体がぐるんぐるん回ってる。

 志狼君が私の手をしっかりとつかんでくれていなかったら、遠心力でどっかに飛ばされそう!


「絶対に俺の手を放すな! もとの世界に二度と戻れなくなる!」

「ええ!? そんなこと言われても回転の力が強すぎて指の力が、もう……!」

「由巫! がんばれ! がんばるんだ!」

「志狼君! も、もうだめ!」


 ふたりの指と指が放れた瞬間、いきなり絵の中からポーンと放り出された私は、床に頭をぶつけてそのまま気を失ってしまった。