「……巫! 由巫、起きろ!」
ぼんやりした意識の遠くの方から、私の名前を呼ぶ声がする。
ふわあぁ。もう朝ぁ? まだ眠いのにお母さんが起こしに来ちゃったんだな。
いいや。聞こえないふりしちゃえ……。
「頼むから目を開けてくれえぇー!」
「はいー! 今起きますー!」
ガバッと飛び起きると、目の前に志狼君の真剣な顔があった。
あれ? お母さんじゃない? ……あ、そうか。私たちは絵の中に引きずり込まれちゃったんだった。
「由巫、だいじょうぶか!? どこも痛くないか!?」
「う、うん。だいじょうぶだよ」
「よかった……」
ヘナヘナと崩れ落ちる志狼君の隣には、ホッとした顔の宙太君もいる。
すぐに立ち上がった私は、周囲の様子に驚いた。
「うわあ! 世界が水墨画だ!」
広大な空間の上下左右、どこを見ても黒と白しかない。
ゴツゴツした山の険しさ。煙りながら落ちる滝の飛沫。地面から顔を出す植物の力強さ。
そのどれもこれもが、墨一色の濃淡だけでリアルに表現されている絵画の世界だ。
「すっごいダイナミック!」
「うん。さすがは有名な画家さんが描いた絵だよね……」
「ね! いつも校長先生が自慢するだけのことはあるよね! ……ん?」
だれ? 思わず返事をしちゃったけど、聞き慣れない声だ。
見れば、志狼君と宙太君の背後に制服姿の男子生徒が隠れている。
小柄で色白なその男子は、水色の前髪の間からオドオドした目で私を見ていた。
志狼君がその子の肩をつかんでグイッと前に押し出した。
ぼんやりした意識の遠くの方から、私の名前を呼ぶ声がする。
ふわあぁ。もう朝ぁ? まだ眠いのにお母さんが起こしに来ちゃったんだな。
いいや。聞こえないふりしちゃえ……。
「頼むから目を開けてくれえぇー!」
「はいー! 今起きますー!」
ガバッと飛び起きると、目の前に志狼君の真剣な顔があった。
あれ? お母さんじゃない? ……あ、そうか。私たちは絵の中に引きずり込まれちゃったんだった。
「由巫、だいじょうぶか!? どこも痛くないか!?」
「う、うん。だいじょうぶだよ」
「よかった……」
ヘナヘナと崩れ落ちる志狼君の隣には、ホッとした顔の宙太君もいる。
すぐに立ち上がった私は、周囲の様子に驚いた。
「うわあ! 世界が水墨画だ!」
広大な空間の上下左右、どこを見ても黒と白しかない。
ゴツゴツした山の険しさ。煙りながら落ちる滝の飛沫。地面から顔を出す植物の力強さ。
そのどれもこれもが、墨一色の濃淡だけでリアルに表現されている絵画の世界だ。
「すっごいダイナミック!」
「うん。さすがは有名な画家さんが描いた絵だよね……」
「ね! いつも校長先生が自慢するだけのことはあるよね! ……ん?」
だれ? 思わず返事をしちゃったけど、聞き慣れない声だ。
見れば、志狼君と宙太君の背後に制服姿の男子生徒が隠れている。
小柄で色白なその男子は、水色の前髪の間からオドオドした目で私を見ていた。
志狼君がその子の肩をつかんでグイッと前に押し出した。


